あれは確か小3の夏休み。
近所のお姉ちゃんと学校のプールに行った帰り道、夕方頃の出来事です。
私の実家は山奥で、
そのお姉ちゃん家とも近所とはいえ、
自転車で10分くらい離れている。
そのお姉ちゃんと別れてひとりになったところ、
その事件は起きました。

潜水橋という、
雨で増水すると沈んでしまう橋があり、
写真はイメージです→

ひとりのおじさんが声をかけてきました。

〇〇へ行くにはどうやって行けばいい?
私の地元は田舎ながらも、とある処が有名でちょこちょこ観光客が来ていました。
そういった風に訊かれるのは慣れっこ。
なので、その説明も慣れたもの。

あー行って、こー行ったら、観光看板があるのでそれをみてください。
これでほぼ全員は理解して行ってくれます。
ところがそのおじさんは、

いや、ちょっと分からないから一緒に来て。
と言うのです。

いやいや、そこに看板見えてるし、これ、危ないやつや、、
子供ながらこれは危ないと、すぐ感じ取りました。
何故なら、時は30年ほど前。
おそらく今40歳以上の人は記憶があると思いますが、
その時、日本中、いや、もしかしたら世界中を震撼させた
ある小児誘拐××〇〇事件があった頃。
夏休み前にも
「知らない人にはついて行かないように!」
と先生から懇々と言われていました。
宮○勉という男が起こした恐ろしいあの事件。
この誘拐未遂事件は、あの事件の直後くらいの出来事でした。
とにかく、ヤバいと感じ、

と伝えると、
一緒には行けない。

じゃあ、アメあげるから。

行けない。

じゃあ、500円あげる。

アメとか500円とか、このおじさんケチだな。
って思ったのはここだけの話w
とにかく、あの手この手でついて越させようとします。

嫌だ!!
とハッキリ伝えると
いよいよ無理やり力付くで連れて行こうとします。
これはやばい!と焦るも、声は出ない。
(本当に恐怖の時って声は出ないんだ、と悟った瞬間でした)
周りの家からは完全に死角の潜水橋のど真ん中。
絶対絶命の大ピンチ!!
そうした時に
まさかの救世主!
普段は絶対に、通るはずのない路線バスが来たのです!
おじさん焦る!
そして逃げて行きました。
私は必死に自転車を漕ぎ、
10分ほどして自宅に着き、親に報告。
通報。

警察が来て、聞き取りや現場検証。
あのドラマでよく見る、
毛のモフモフしたやつで
ポンポンと私の自転車を白い粉で
叩き、私の指紋を取り、
来てた服を押収して、犯人の指紋を取ろうとしてました。
程なくして、犯人の目星がつき、私も確認に呼ばれることに。
何故か、学校で行われたのですが、
まさかの校内放送で名指しで校長室に呼び出し。
気遣いも何もあったもんじゃありません。
事件を知らないクラスメートは大騒ぎ。
問題を起こすタイプではなかったので、
何をしたのかと問い詰められる。
そんなこんなで犯人は捕まりました。
学校の近所の商店街で別の子供を拉致しようと声を掛けたところで
大人が気づき取り押さえたようでした。
おバカさんですね。
私を危機から救ってくれたバスは、
いつも上のロータリーでUターンするところ、
駐車場が埋まっていてUターンしづらかったので
潜水橋を通って別の所でしようとしたようでした。
私がこの事件で思い出すのは、
おじさんの顔ではなく、
その時に来ていた服のこと。
いとこのお姉ちゃんから貰った
凄くお気に入りの服。
セーラー服のプリントがしていて、一番のお気に入りの服でした。
押収されたそのお気に入りの服が戻ってきたのは、
夏も終わり涼しくなった頃。
成長期の小学生。
翌年の夏は着れるはずもありません。
それが悔しくてなりませんでした。
まあ、命があっただけでも良しとしないと、ですね。
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